2024/09/08  
めっきというかロジウム信仰に関して

めっきに関してはあまり経験ないんだけど、
私はヘッドホンプラグにオヤイデ P-275Tをよく使っている。気に入って使っているプラグ。オヤイデはたまにすごく良いもの作るけど、これはそれに該当する。傑作だ。ノイトリックのプラグよりも全長が長くならないのも気に入っているポイント。ニッケルめっき。ロジウムめっきではない。

ロジウムめっきは多層めっきで、良い音出た経験がないし、金めっきも下地にニッケルめっきの2層なので、ニッケルめっきほどシンプルな系ではない。そしてニッケルめっきほど素直な音ではない。接触抵抗や耐腐食性では金が一番いいのだが、ニッケルの方が素直な音が出る。
例えばノイトリックの3.5mmプラグNTP3RC(ニッケルめっき), NTP3RC-B(金めっき)の比較でもNTP3RC(ニッケルめっき)の方が癖がなく音が良かった。音色もNTP3RC(ニッケルめっき)のほうが良かった。ニッケルめっきからイメージするようなギンギラな音はしない。
これらの結果から、めっき素材の抵抗値や接触抵抗よりも、系の複雑さが効いているのだと思う。シンプルなほど劣化要素が少なく、ロジウムめっきのように異なる金属層が何重にも重なっていると、音が悪くなる要素が増えていくということだろう。
そこを追及すると無めっきが良いとなるのだろうけど、そこまでエンスーじゃない。理論上は正しいのだが、銅の酸化層は音を結構曇らせる。なので定期的に磨く必要が出てくる。
個人的にはめっきは1層の銀めっき、ニッケルめっき、錫めっきが良く、許容しても2層の金めっきまで。素材自体が酸化しない耐腐食性や抵抗値、接触抵抗などを考慮すると金めっきがいちばん無難と言える。ロジウムめっきは選択外。

ロジウムは下地に何層もめっきしないと母材との接着が悪かったり腐食の問題が出るので、必然的に多層めっきになるのだが、かたやめっきの音がしない無めっきがいちばん音が良いと言いながら、多層めっきのロジウムめっきが音が良いと言われるこの状況はおかしい。選択肢が多いことは良いことではあるけど、メーカーも消費者も「めっき無しが一番音が良いんだよね。だけど酸化するからめっきがいるんだよ!中でも(めっき層をたくさん持っている)ロジウムめっきが音が良いんだよね!」と思っているなら、理論的に破綻していることに気づいたほうが良い。無めっきが音が良いことと多層めっきが音が良いことは理論的な整合が取れていない。
それにロジウムは値段が高いので金やニッケルは格下に見られがちだが、結局ロジウムの下にはロジウム信者が格下に見ている金めっきやニッケルめっきがあるのだ。そう考えるとロジウム層は価格を引き上げて音質を悪くする余計なものでしかない。

ちなみにプラグの音質はブレードやピン、使われているプラスチックなど材質や品質、形状などでも左右されるのでめっきのみで音質が決まるわけではない。けれど、ロジウムめっきってだけで買う気が失せてしまう。